新規事業に求められること

会社から求められること

役員や上司から「何か新しいことをやってくれ!」と言われて、自分の好き勝手にやる訳にもいきません(組織の一員として)

会社から求められていることは、以下のようなニュアンスが含まれているかと思います。

  • 会社にとって新しい市場、顧客を獲得できること。
  • 事業成長に必要な売上・利益を得られること。
  • 長期持続できる事業であること。

言うは易く行うは難しで、はじめから色々と考えてしまうと行動できなくなります。私も当初は色々と考え込んで動けなくなりました…。ただ、新規事業のツボを抑えていれば、アイディアを自由に発想して楽しくできると思うので、そうなれるようツボをまとめていきたいと思います。

新規事業をやっていくのに求められる能力

そもそも新規事業に向いている人ってどのような特徴なのか、という質問を受けます。新規事業と既存事業では求められるマインドセット、スキルセットは変わってくると思います。もちろん、どちらが良い、悪いと訳ではありませんが、新規事業とベンチャーは求められる能力が共通していると思います。

新規事業チームやベンチャーは未開拓地への冒険家です。 色々と「揃っていない、整っていない」のが当然であり、いちいちその事に気が障る方は新規事業は向いていないのかも知れません。一般論になるかも知れませんが、求められるマインドセット、スキルセットを列挙してみます。

  • 当事者意識。
  • 専門分野以外の分野への好奇心。
  • 論理的思考と柔軟性。
  • 考えながら行動、行動しながら考え抜くスピード感。
  • 自前主義に拘らないオープンイノベーション。
  • 適度な楽観主義。楽しみながら。

あくまで個人的な意見になりますがマインドセットの方が重要だと思います。と、言って私自身がこれら要件を満たしているかというと、あまり自信ありませんが(汗)

まず、とにもかくにも当事者意識が最重要だと思います。指示待ち人間では新しいことは創造できません。
過去にある大企業の新規事業の担当者から「社長からIoTを活用して新しい事業を立ち上げたいと言われたから何か提案して欲しい」というビックリな相談を受けました。
この時点で、この担当者は当事者意識や自分の意思がないから絶対に成功しないと感じましたし、その担当者は他の会社にも同じようなスタンスで振舞っていたようで業界内でもその噂はまわりました。その会社にとってもレピュテーションを落としていることにもなります。
とにかく、新規事業は成功するかどうかの担保がない以上、担当者のやる気と魅力ある事業かどうかで決まると思います。

次に、自分の専門分野以外の 異業種分野 にも好奇心を持てることと、これまでの常識を疑える柔軟性は重要だと思います。
例えば、異業種分野の状況や課題を知ることで、もしかしたら自分の専門分野の知識・経験で解決できるかも知れません。
昨今、IoTの応用として農業IoTサービスがありますが、これは農業しか経験したことない方では実現できませんし、逆にITプログラマーだけしか経験したことない方でも実現できなかったと思います。とにかく、新規事業には新しい発想が大切で、その新しい発想を生み出すには専門分野以外にも関心を持つことが重要なのだと思います。

他には論理的思考行動力スピード感など色々ありますが、これらについては言うまでもないと思うので説明を省きます。

一方、最近トレンドワードとしてよく耳にするのは「オープンイノベーション」です。オープンイノベーションについては別途まとめたいと思いますが、簡単にいうと「自前主義では難しい新たな価値創造を大企業、ベンチャー、大学/研究機関と関わりながら実現する取り組み」のことです。従来の日本企業は技術の内製化(クローズドイノベーション)を美徳(?)としているところがあったと思いますが、今となっては技術大国日本の神話は崩れつつあります。自社のコアコンピタンスはしっかり持ちつつも、スピード感をもって新しい価値創造をするために積極的にオープンイノベーションに関わることが重要かと思います。

あとは、新規事業は上手くいかないことの方が多いので、一喜一憂していると体と心が持ちません。適度な「いい加減さ」と「楽観主義」は大切なことだと思います。

  • 新規事業の基本プロセスの理解
  • 市場ニーズ、技術シーズのトレンドを見極める能力。
  • 効率よく進めるためのビジネスフレームワークの知識(手段)
  • 簡潔に伝える力・ドキュメンテーション能力。
  • 事業計画(P/L)を作れる程度の会計能力。
  • 社内・社外との連携、調整能力(協調性)

次に求められるスキルセットについて説明します。こちらも一般論になって恐縮です…。
「成功するプロセスはない。経験則と直感だ!」と仰られる方がいます。それはその通りなのですが、これから新規事業を始めようとするビギナーの方は最低限、基本的なプロセスは共通認識として持っておいた方が、大コケせず確度を少しでも高められると思います。その基本プロセスについては別途まとめたいと思います。

次に、市場ニーズ、技術シーズのトレンドを見極める力が求められます。すでに世の中にある”ありきたり”なことをしても顧客への提供価値は薄く、新規事業としての意義もありません。解決できていない市場課題やニーズを抽出して、それを解決することによる経済効果を想定し、それをどう解決するか(シーズ)を用意できるかが魅力ある新規事業を立てられるかどうかのポイントかと考えます。これは経験で培っていく必要があります。

次に、簡潔に伝える力・ドキュメンテーション能力が求められます。まとまりのない長い説明とドキュメントを見せられると意思決定者は興ざめします。人は一度に多くの情報を詰め込まれると頭に残りません。ポイントを絞って簡潔に伝える力と、表現力(ドキュメンテーション能力)が求められます。

あと、必須ではありませんがビジネスフレームワークを手段(ツール)として知っておいたほうが、漏れを少なく効率的に課題整理ができます。例えば、市場調査のフレームワークとしてPEST分析、VRIO分析/SWOT分析、4P分析などあります。Googleで検索したら色々出てきますので参考にしてください。

最後に、社内・社外との連携、調整能力が求められます。
新規事業を立ち上げる為には社内賛同を得る必要がありますし、事業を拡大していく為には社外との連携が重要になってきます。そこで重要なのが調整能力で、相手に理解してもらう為には動機付けの説明や誠意、謙虚さなど人間性も含まれています。上から目線でコトを調整しても、あとあと問題になるケースをたくさん見てきました。

とにかく新規事業に求められる能力は様々ありますが、1人の人間がすべてケアする必要はありません。チームワークで対処すれば解決できることも多いです。

次は、新規事業のプロセスについて、まとめていきたいと思います。

投稿者プロフィール

nalab
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管理人:NaLa
元エンジニア
ベンチャーキャピタリスト
うどん県出身/関西在住